アスベストとは?

アスベスト(石綿)は、地中で形成される天然の鉱物繊維で、直径は1,000分の1ミリという極めて細い繊維です。肉眼では確認できないほど微細なため、空気中に漂いやすい特徴があります。かつては耐熱性・保温性・防音性に優れ、化学的にも強いことから、1960〜1990年代にかけて建築物や工業製品に幅広く使用されていました。鉄骨建築の耐火材や住宅の天井・壁材、学校、工場、温泉施設など、さまざまな場所で大量に用いられた歴史があります。しかし、その後健康被害との関連が明らかになり、現在では重大な社会問題として厳格な規制の対象となっています。

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原則禁止へ

アスベストは、住宅や倉庫では外壁・屋根・軒裏・煙突などに多く使用され、ビルや公共施設では鉄骨の耐火被覆や天井・壁・床の下地、さらには機械室など広範な部分で利用されていました。その用途は約3,000種類にも及び、建築分野全体で欠かせない素材とされていた時代があります。しかし、環境汚染や健康被害が明らかになったことから、2012年以降は含有率0.1%を超える吹き付け材の使用が原則禁止となりました。現在では、建物調査や適切な対策が欠かせない重要な問題となっています。

アスベストが人体に与える影響

アスベストが原因で発症するとされる疾病

アスベストの繊維は非常に微細で、空気中に浮遊しやすい性質を持っています。この粉じんを吸い込むと肺の奥深くまで入り込み、長期間体内に残留することがわかっています。その結果、時間をかけてさまざまな健康被害を引き起こす可能性があります。代表的な疾患としては、肺の組織が硬くなる「石綿肺」、発症率が高まる「肺がん」、胸膜に悪性腫瘍ができる「悪性中皮腫」、胸膜が厚くなる「びまん性胸膜肥厚」、さらに「良性石綿胸水」などが挙げられます。これらは深刻な症状につながるため、早期の調査と適切な対策が重要です。

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① 石綿肺

石綿肺は、アスベストとの関連が指摘されている代表的な健康被害のひとつで、粉じんを吸い込むことで肺が線維化する「じん肺」の一種です。初期段階では、せきやたん、軽い息切れといった症状がみられますが、病状が進行すると重度の息切れや呼吸不全を招く恐れがあります。特に、長期間にわたり大量のアスベスト粉じんを吸引した場合に発症するとされており、早期の予防や適切な環境管理が重要です。当社では、こうした健康リスクを防ぐための調査・除去の徹底を行っています。

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② 肺がん(原発性肺がん)

原発性肺がんとは、肺や気管支の細胞から直接発生する悪性腫瘍のことで、他の部位から転移してくる「転移性肺がん」とは明確に区別されます。主な症状としては、せき・たん・血痰・胸の痛み・息苦しさなどがありますが、病気が進行するまで自覚症状がほとんど現れないケースも多く見られます。アスベストばく露との関連が指摘される疾患のひとつであり、早期発見のためには定期的な検診や適切な健康管理が重要です。当社では、こうした重大な健康リスクを未然に防ぐための調査・対策を徹底しています。

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③ 悪性中皮腫

肺を包む膜(胸膜)や、おなかの内側(腹腔)を覆う腹膜などに並んでいる中皮細胞から発生する悪性腫瘍のことを、悪性中皮腫といいます。症状としては、せきや胸の痛み、呼吸困難、胸部圧迫感のほか、発熱や体重減少がみられることもあります。アスベストの吸引以外の原因で発症することもあるとされていますが、まれなケースと考えられます。

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④ びまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚(びまんせいきょうまくひこう)とは、肺を包む胸膜きょうまくが線維化、厚くなっていく病気です。通常、肺は柔らかく、呼吸によって膨らみます。しかし、線維化が進行すると胸膜が厚くかつ硬くなり、肺が膨らまなくなってしまいます。その結果、呼吸が難しくなり、息切れなどの症状が現れます。例えば、歩いただけで息が切れるようになり、重症になると酸素吸入などの治療を必要とすることが多くなります。

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⑤ 良性石綿胸水

肺の外側とあばら骨の内側などを包む胸膜の炎症により、胸水がたまる病気です。症状は特に現れないことが多く、ほとんどの場合は胸水も自然に消滅するといわれています。
ただし、胸水が消滅せず、呼吸器障害が残ることもあります。
以下の4項目を満たす疾患をいいます。
(1)石綿ばく露歴があること
(2)胸部レントゲン写真あるいは胸水穿刺で胸水の存在が確認されること
(3)石綿ばく露以外に胸水の原因がないこと
(4)胸水確認後3年以内に悪性腫瘍を認めないこと

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潜伏期間について

アスベストを吸い込んだからといって、すぐに疾病を発症するわけではありません。アスベスト健康被害は、長い潜伏期間を経て発症するといわれています。
①石綿肺:15~20年
②肺がん:15~40年
③悪性中皮腫:20~50年
④びまん性胸膜肥厚:30~40年
⑤良性石綿胸水:40年程度

アスベストを吸い込んだ量と中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、短期間の低濃度ばく露における発がんの危険性については 不明な点が多いとされています。現時点では、どれくらい以上のアスベストを吸えば、中皮腫になるかということは明らかではありません。もし不安がある場合は労災病院等の専門医療機関にご相談ください。

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アスベストに係る法規制

建築基準法:アスベストの飛散のおそれのある建築材料の使用を規制し、増改
築時における除去等を義務付け。
大気汚染防止法:建築物等の解体等に伴い大気中にアスベストの飛散防止のため、解体工事の前の調査、届出と飛散防止対策を義務付け。
労働安全衛生法、石綿障害予防規則:建築物の解体・改修等作業における労働者のアスベストばく露防止のため、事前調査、労働基準監督署への届出、隔離養生、湿潤化、保護具の使用等の対策を事業者に義務付け。
建設リサイクル法:建築物の解体工事においては分別解体し再資源化することが義務付けられていますが、アスベストが付着していないかを事前調査し、届出る必要あり。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法):飛散性のアスベストは耐水性の材料で二重梱包する等により埋め立て処分する必要あり。

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調査の結果、アスベストがあった場合

吹付けられたアスベスト等の他、貼り付けられた保温材、耐火被覆材等が劣化、損傷した場合は飛散防止対策が石綿障害予防規則により義務付けられています。除去工事には3種類の工法があり、それぞれの工法の特徴をふまえて、工法を選択します。
①除去工法
②封じ込め工法
③囲い込み方法
もっとも確実に除去できる①と違う工法の②と③については、解体時・改修時には除去工事が必要になります。

アスベスト対策

【建築時】
石綿(アスベスト)による健康被害を防止するため、建築物における石綿の使用が厳しく規制されています。

〇石綿の飛散のおそれのある建築材料の使用を規制する。
※ 具体的には、吹付け石綿及び石綿含有吹付けロックウールが規制の対象
①増改築時における除去等を義務づけ
②石綿の飛散のおそれのある場合に勧告・命令等を実施
③報告聴取・立入検査を実施
④定期報告制度による閲覧の実施

【解体時】
令和5年10月1日からは、建築物(建築設備を含む)の解体・改修工事を行う際は、有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による事前調査の実施が義務付けられています。

〇吹付け石綿、石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、大気汚染防止法に基づき、石綿の除去等に係る一連の作業を開始する14日前までに、都道府県等に届出を行い、石綿飛散防止のための作業基準・働安全衛生法や廃棄物処理法等を遵守。